【第4回】「公益」は宗教法人の要件か?【No pain No gain】
- 解散請求の「第2の矢」:2号前段要件
- 文科省は解散請求要件として、宗教法人法81条1項2号前段(「宗教団体の目的を著しく逸脱した行為」)を挙げている
- 1号要件(法令違反)と並ぶもう一つの根拠
- 文科省の主張の流れ
- 「宗教法人は『公益法人』として法人格を与えられた」
- 「旧統一協会は公益を害する行為を行ったため、目的を著しく逸脱した」
- したがって2号前段を満たす → 解散請求OK
- 根本的な誤り:宗教法人法に“公益”要件はない
- 第2条の定義を読むと
- 「宗教団体」の目的は「宗教の教義を広め、儀式行事を行い、信者を教化すること」
- 「公益」「公共の福祉」などの文言は一切登場しない
- 立法経緯のポイント
- GHQ(CIE)の指導で「公益要件」を除外
- 理由① 政府が恣意的に宗教を選別する恐れ
- 理由② 「公共の福祉に必ず寄与するか」を客観的に判断できない
- 理由③ 政教分離原則により、まず宗教団体に法人格を与えて自主運営を尊重すべき
- 第1条・第2条の構成
- 第1条:法人格付与の目的=宗教活動の自由を保障
- 第2条:宗教団体の定義=教義伝播・儀式・信者教化
- 「公益事業」は別規定(第6条)で定められている
- 宗教法人が公益事業を行う根拠は、第6条に明文規定
- 「公益」を第2号要件とすると第6条は不要になる矛盾
- 結論:文科省の2号前段要件は“悪質な嘘”
- 「宗教法人は公益性が前提」という主張自体が立法経緯に反する
- 旧統一協会だけで突然「公益要件」を持ち出すのは根拠を欠く恣意的解釈
- 今後も文科省の主張動向を注視すべき