「公共の福祉を“濫用”するな」30年にわたり繰り返された「国連勧告」の経緯と日本の現状
【要約】「公共の福祉を“濫用”するな」― 国連勧告30年の経緯と日本の現状
■ 公共の福祉をめぐる国連の懸念
- 「公共の福祉」は日本国憲法で人権制限の根拠とされているが、あまりに曖昧なため乱用の恐れがあると国連が指摘。
- 日本は1979年に国際人権規約を批准し、10年ごとに審査を受けている。
■ 国連の勧告の経緯(1993〜2025)
- 1993年(第3回審査)
初めて「公共の福祉」に懸念表明。曖昧すぎて人権制限の根拠に使われる恐れがあると警告。
- 1998年(第4回審査)
改善が見られないとして再度強い懸念。「いくらでも人権制限できる言い訳」と指摘。
- 2008年(第5回審査)
「公共の福祉」を明確化し、国際規約に沿う立法を求める。
- 2014年(第6回審査)
日本政府は従来の立場を維持し、国連は「勧告を無視した」と批判。
- 2025年(最新)
国連特別報告者4名が連名で声明。宗教団体への「公共の福祉」適用は国際人権法に反する恐れがあると正式表明。
■ 家庭連合問題と「公共の福祉」
- 2023年、政府は家庭連合に対して「公共の福祉を著しく害する」として解散命令を請求。
- 国連は「曖昧な概念で宗教団体を解散させるのは信教の自由の侵害」と警告。
- また宗教2世や信者への差別・偏見が深刻化している点も指摘。
■ 国際社会での日本への評価
- UPFは2024〜2025年にかけて国連ジュネーブ本部で「日本と人権」をテーマに報告を継続。
- 公共の福祉や社会的相当性による信仰制約は国際法違反と主張。
- 2025年10月、国連人権高等弁務官事務所が再び「公共の福祉の乱用」と「宗教的少数派へのスティグマ化」に懸念を表明。
■ 結論
- 「公共の福祉」は日本の人権政策の根幹に関わる問題。
- 曖昧な概念のまま国家が信仰・思想を制約すれば、国際的な人権原則の侵食につながる。
- 日本政府が国際人権法の精神をどう実行するかが、今まさに問われている。