Ⅰ. 全体像
- テーマ
- 旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の解散命令審理をめぐり、
橋下徹弁護士が紀藤正樹弁護士らを強く批判している内容を紹介・考察する回。
- 旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の解散命令審理をめぐり、
- 目的
- 橋下氏の
- 法律解釈(「法の誤解」批判)
- 真の被害者救済の代替案
を整理し、「法治国家としてどうあるべきか」を視聴者に問いかける。
- 橋下氏の
Ⅱ. 橋下徹が批判する「法の誤解」
1. 批判のターゲット
- 紀藤弁護士・被害対策弁護団の立場
- 長年の被害者支援活動そのものは評価。
- しかし、解散命令を正当化する法的根拠の立て方に重大な異議。
- 問題視している点
- 民法上の「使用者責任」を
宗教法人法に基づく解散命令の主な根拠にしていること。
- 民法上の「使用者責任」を
2. 「使用者責任」と「解散命令」の違い
- 使用者責任とは
- 個々の信者(職員)の不法行為について、
組織が民法上の損害賠償責任を負うためのルール。
- 個々の信者(職員)の不法行為について、
- 宗教法人法81条の解散要件
- 「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為が継続的に行われたこと」
- しかもそれが
- トップレベル幹部の指示・関与
- 組織ぐるみの継続的な方針
であったことを示す、より厳格な証拠が必要。
- 橋下氏の主張
- 「使用者責任が認められる」=民事上の結果責任
- 「解散命令」=法人格を消滅させる極めて重い制裁
- → 証拠のレベル・法的性質が全く別物なのに、ごっちゃにしていると批判。
3. 感情論・世論への流され方への警戒
- 2022年の橋下氏の発信
- 「禁止規範・命令規範(刑罰や行政処分)と民法を分かっていない論者が多い」
- 「会社法824条を広く拡大解釈すると、解散命令だらけになる」と警戒。
- 橋下氏の危機感
- 法律家としての少数意見を無視し、
一つの解釈だけが「唯一の正義」のように世論化している状態を問題視。 - 「感情で法治国家を動かす暴挙に近い」というニュアンスで批判。
- 法律家としての少数意見を無視し、
Ⅲ. 高裁での解散命令審理についての見通し
1. 地裁判決と高裁審理の違い
- 東京地裁の解散命令(2025年3月)
- 世論の強い圧力の影響可能性も含めて評価。
- 高裁でのポイント
- より純粋に
「宗教法人法81条の要件を満たすか」
に絞って判断される可能性が高い。
- より純粋に
2. 橋下氏の予測
- 基本的な見立て
- **「解散命令は高裁で覆る可能性が高い」**と見ている。
- 理由
- トップ幹部による直接的かつ継続的な違法行為の指示・関与を示す証拠が乏しい。
- 過去判例や岸田政権の国会答弁でも
- 民法上の不法行為(使用者責任)は
通常、解散要件の「法令違反」には含めないという解釈が示されている。
- 民法上の不法行為(使用者責任)は
- 信者証人尋問への視点
- 解散による信者の差別・孤立・信仰生活への影響などの不利益が証言されているが、
- 橋下氏の立場からは、
あくまで証拠と法の要件に従うべきで、
感情論だけで左右されるべきではないと考える。
- 橋下氏の立場からは、
- 解散による信者の差別・孤立・信仰生活への影響などの不利益が証言されているが、
3. 危険な前例になるという懸念
- 解散命令を安易に認めた場合
- 他の宗教団体
- さらには一般企業
に対しても、従業員の不祥事を理由とした解散命令が「乱発」されかねない。
- 社会的影響
- 教団の総資産は被害救済の原資であると同時に、
多くの信者の生活・信仰活動の基盤でもある。 - 「法の支配」「様々な立場の権利」とのバランスを崩す危険があると警鐘。
- 教団の総資産は被害救済の原資であると同時に、
Ⅳ. 「真の被害者救済」への代替案
1. 解散命令に「固執する姿勢」への批判
- 橋下氏の見方
- 解散命令だけを求めるのは
**「被害者を欺く欺瞞」**とまで批判。 - 解散しても
- すぐに被害者が救済されるわけではない
- むしろ資産が精算され、将来の潜在的被害者の救済原資が失われる可能性。
- 解散命令だけを求めるのは
2. 保障委員会(補償スキーム)への評価
- 宗教法人 世界平和統一家庭連合「保障委員会」
- 2025年10月29日に設置発表。
- 橋下総合法律事務所の弁護士が委員参加。
- 若狭勝弁護士も第三者的参与として参加。
- 特徴
- 教団から独立した立場で運営すると説明。
- 対象:
- 元信者
- 現役信者
- 相続人 まで含める可能性。
- 補償方針:
- 法的に損害賠償請求権があるケース
- すでに時効だが、**「外然性」(被害の可能性が高いと合理的に推認)**が高いケースも
→ 法律の枠を超えて補償対象とする方針。
- 橋下氏の評価
- 自身が2022年から主張してきた
「個別被害者救済のための仕組み」が具体化したものとして高評価。
- 自身が2022年から主張してきた
※同時に、被害対策弁護団などからは
「独立性・公平性への疑問」も出ていることも動画内で言及。
3. 追加で必要とされる制度的な手当て
- 橋下氏が提案(・評価)する施策
- 消費者団体訴訟制度の改善
→ 被害者が集団訴訟しやすくする。 - 過度な寄付を防ぐための「寄付上限規制」などの法整備。
- 脱会希望者を支援する公的な体制の整備・拡充。
- 消費者団体訴訟制度の改善
- 基本スタンス
- 解散に頼るのではなく、
- 将来の被害の抑止
- 既存被害の迅速・柔軟な補償
を可能にする「多角的な仕組み」を整えるべき。
- 解散に頼るのではなく、
Ⅴ. 最後のまとめと、視聴者への問いかけ
1. 橋下徹の主張の骨子(2本柱)
- 法の厳格な適用
- 宗教法人の解散命令は極めて重い処分。
- 宗教法人法が定める厳格な要件に基づき、証拠と法に従って判断されるべき。
- 感情論・世論・一部弁護士の解釈に流されてはならない。
- 真の被害者救済
- 解散ではなく、
- 教団が存続した上で責任を負う補償スキーム
- 法制度の整備
によって、現実的・継続的な救済を実現すべき。
- 解散ではなく、
2. 動画のラストで投げかけられる問い
- 複数の価値の衝突
- 深刻な過去の被害への「正義」
- 法の支配・厳格な法解釈という「法治国家の原則」
- 信教の自由・宗教団体の活動の自由
→ これらが複雑に絡み合っている。
- 視聴者への問い
- 「社会として、この相反しうる価値・原則の間で、どうバランスを取るべきか?」
- 「被害者・家族・信者にとって、真の解決の形は何か?」
- 「法なのか、感情なのか、あるいは別の道なのか?」
を一度自分の頭で考えてほしい、と結んでいる。

