【第3弾】パトリシア・デュバル国際弁護士に聞く
目次
「自由権規約で許された信教の自由の制限とは?」
質問:ICCPR(自由権規約)における、旧統一教会の解散に関する見解は?
制限は極端な状況に限られるべき。
例:健康に対する危険(宗教儀式での薬物使用)、公共の安全や秩序の脅威(テロなど)、風俗に反する行為(ポルノなど)、他者の基本的人権を侵害する場合。
A. 公共の安全と秩序に対する脅威とは?
- 例:テロ行為の教唆や暴力的態度を促す宗教団体
フランスでは、暴力行為を推奨したイスラム団体が解散された。 - 厳格な条件でのみ適用可能。
国民の安全を守る国家の責任に基づく場合に限る。
B. 健康への脅威による制限とは?
- 例:ラスタファリアンが宗教的儀式として薬物を使用
国連人権委員会は、国家が薬物使用を禁じることを容認。
→ 公衆衛生を守る観点から、国家の制限は正当とされた。
C. 道徳的危険による制限とは?
- 非常にまれな例。
例:児童ポルノの配布など、極端で違法性の高いケースのみ。
通常の宗教実践には該当しない。
D. 他者の基本的権利を守るための制限とは?
- 例:宗教的儀式としての人身供犠(生命・身体の侵害)
→ 他者の生命や身体の安全を守るための制限は正当。 - 「家族が心配している」という理由は基本的権利には該当しない。
→「家族の選んだ信仰に心を乱されない権利」などは存在しない。
E. 基本的人権の優先順位について
- 基本的権利とは?
- 生命の権利
- 拷問の禁止
- 公正な裁判の権利
- 信教の自由
- 差別からの自由 など
- 「平和に暮らす権利」や「親の信仰に左右されない権利」は基本権には含まれない。
F. 財産権に関する誤解について
- 国際自由権規約には“財産権”は含まれない。
→ 欧州人権条約の議定書にはあるが、それは「国家による財産の没収」などに対する権利。 - 個人間の財産トラブルは民事裁判で解決すべき。
→ 例えば、子どもが親に「お金を使うな」と訴える権利はない。
→ 扶養義務などがあれば、家庭裁判所へ。
結論
- 国家が信教の自由を制限するのは極端な例に限られる。
- 旧統一教会のケースは、そうした制限の条件を満たしているとは言いがたい。
- 財産権や家族の感情は、信教の自由を制限する正当な根拠にはならない。
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