背景
韓国は戦後70年でGDPが大幅成長。半導体・家電・Kドラマなどで成功した一方、「崩壊寸前」とも言われる社会的ひずみが深刻化している――という問題提起。
主張
経済の見かけの好調の裏で、韓国社会は5つの危機(①無限競争、②メンタル悪化、③住宅高騰、④超少子化、⑤分断激化)に直面しており、国の持続可能性を脅かしている。
① 無限競争社会
- 学歴競争:高校生の23%が週60時間超学習(OECD平均の約2倍)、大卒志向75%。
- 家計の教育支出:GDP比5.8%と世界最高水準。
- 就職競争:財閥入社は狭き門。SNU(ソウル大)休学率約23%(資格・長期インターン等の就活目的含む)。
- 働き方:年間労働時間約1,900時間(OECDでメキシコに次ぐ長さ)。勝てば高額ボーナス、負ければ部署消滅もある苛烈さ。
② 憂うつな人々(メンタルヘルスの悪化)
- 余暇・趣味のインフラ不足感(アマ野球場の希少さ、二輪の危険度など)が休息を贅沢に。
- うつ等の精神科受診者は近年急増:2022年に約110万人、2年で33%増。
- 女性の比率が高く、20代で深刻。10歳未満の患者も5年で+118%。
③ 住宅価格の高騰
- ソウル平均価格は2025年に1.4億円超の見込み。数ヶ月で数千万円上昇の事例も。
- 平均的な家の取得に「世帯年収の10年以上」。20~30代には家取得が“幻”。
- 価格格差(上位20%と下位20%)は統計開始以来最大の12倍へ拡大見通し。
④ 超少子化(国の存続に直結)
- 合計特殊出生率:2018年に1.0割れ→2022年0.78→2023年0.72(過去最低)。
- 出生数:1970年100万人超→2023年約23万人(4分の1以下)。
- ソウル0.59/地方の一部1.81など地域差も大。教育費・住宅・長時間労働が結婚・出産のインセンティブを消失。
⑤ 社会の分断と不信
- 資産偏在:60歳以上が国富の約40%を保有、39歳以下は13%。同世代内でも資産の有無で極端に分化。
- 政治的分断:22年大統領選は0.7pt差。地域・世代・ジェンダーで支持が二極化。
- 首都圏一極集中:人口・雇用の過半が集中し、地域間格差や怒りを増幅。
付記:豊かさと影
- カフェ文化やデリバリー等、生活利便は高いが、その陰で「無限競争」と「家族形成コスト」が幸福を侵食。
展望・提案(動画の示唆)
- 成長率だけでなく「生活と幸福」を守る政策へ軸足転換。
- 教育・就労・住宅の三位一体改革(例:公教育の負担軽減、長時間労働の是正、若年向け住宅供給・金融支援)。
- 少子化対策は支援金だけでなく、時間・住まい・将来不安の総合解消が鍵。
- 分断を和らげる地域分散・機会均等策、世代間の公正な負担配分。
👉 要するに
韓国は“外形的な成功”の陰で、競争・住まい・少子化・分断という構造的リスクが臨界に近づいており、経済成長から「暮らしの持続可能性」へ政策の軸を移さない限り、国力の土台が先に崩れかねない――という警鐘。