後藤徹氏の『死闘 監禁4536日からの生還』:信仰を守り抜いた12年5か月の闘い
目次
1. 12年5か月の拉致監禁の実態
1995年、当時31歳だった後藤徹氏は、家族(兄、兄嫁、妹、両親)と反カルト活動家・宮村峻氏、松永泰牧師によって拉致監禁されました。目的は旧統一教会(現・家庭連合)の信仰を棄てさせることでした。後藤氏は玄関からの脱出や偽装脱会を試みるも失敗。最終的にはハンガーストライキを実行し、餓死寸前まで追い詰められました。
2. 監禁生活の中での信仰と脱出
監禁中、後藤氏は祈りを支えに信仰を守り続けました。2008年2月10日、家族によって監禁場所から解放されました。極寒の中、監禁場所から教会本部まで約10kmを歩き、衰弱しきった状態で奇跡的に信者に出会い、保護されました。この出来事を後藤氏は「神が救ってくださった」と述べています。
3. 裁判での闘いと勝訴
解放後、後藤氏は拉致監禁に関わった家族や宮村氏、松永牧師を刑事告訴しましたが、不起訴となりました。しかし、2011年に起こした民事訴訟では勝訴を勝ち取り、拉致監禁の違法性が司法で認定されました。
後藤氏の勝訴後、拉致監禁事件の発生件数は激減し、翌年には発生がゼロになりました。
4. 拉致監禁の被害と現在の課題
拉致監禁事件は減少したものの、過去の被害によるPTSDや家族関係の崩壊に苦しむ信者は今も存在しています。また、拉致監禁後に脱会させられた元信者が教会を訴え、それが旧統一教会の解散命令請求につながったと指摘されています。後藤氏の闘いは、信教の自由を守るための象徴的な事例として今なお大きな意味を持っています。
5. 本書の意義
『死闘 監禁4536日からの生還』は、日本における信教の自由と拉致監禁問題を考える上で重要な一冊です。ノンフィクションとして、人権侵害の現実を知るだけでなく、信念を貫いた後藤氏の生き様が描かれています。著者の闘いを通じて、信教の自由を守るための課題が浮き彫りとなっています。