目次
「現代のホロコースト」第28回(ナビゲーター:魚谷俊輔)要約
【テーマ】
統一教会信者に対する拉致・監禁・強制棄教の実態と、それに対する国際的な人権団体の取り組み
🔹 1. 問題の構造
- 拉致・監禁・強制棄教は違法であり犯罪。だが、日本では長年、警察も司法も実態把握・取り締まりをしてこなかった。
- 欧米では「強制棄教」は過去の話だが、日本では21世紀になってもなお続いている。
- 日本政府が黙認していることに、国際社会は強い驚きと疑問を抱いている。
🔹 2. 国際社会への訴え
- アメリカ国務省、連邦議会、国連人権理事会などで訴えを行ってきた。
- 国境なき人権(Human Rights Without Frontiers)が中心的な調査・報告を実施。
🔹 3. 報告書の発表と内容
- タイトル:「日本における信者の拉致と拘束」
- 2011年12月:英語版が発表
- 2012年2月:日本語訳が公式サイトに掲載
- 内容構成:全60ページ、A4判。今回は「はじめに」と「第1章(日本の宗教事情の外観)」を解説。
🔹 4. 「はじめに」(アーロン・ローズ博士)要点
- 日本の警察・司法が加害者(拉致・監禁実行者)を起訴も捜査もしない実態を問題視。
- 被害者に法の下の平等な保護がない。これは憲法および国際人権規範に対する重大な違反。
- 問題が放置された理由:
- 日本が国際的に「人権先進国」と見なされ、監視対象になってこなかった。
- 家族による拉致という特殊な構造 → 警察も介入しづらい。
- 日本独特の「家」文化と国際人権の価値観がぶつかっている。
🔹 5. 「第1章 日本の宗教事情の外観」(イアン・リーダー教授)
- 日本では宗教は家や地域に根ざした文化的・慣習的なもの(神道=地域宗教、仏教=家の宗教)。
- 仏教の法事、先祖崇拝は「家」に属するもの。個人の自由な宗教選択の観念は伝統的に弱い。
- 新しい宗教(新宗教)は伝統と対立しがちで、社会から排除されやすい。
- 特に**オウム真理教事件(1995年)**以降、「組織宗教=危険」という認識が強まった。
- 結果として、統一教会などに対する強制的な棄教行為も「社会の正義」として黙認される風潮が広まった。
🔹 6. 今回の結論
- 拉致・監禁問題は単なる特定宗教団体の問題ではなく、日本社会全体の宗教に対する文化的・制度的背景が根本要因。
- 解決には、日本国内の啓発と同時に、国際社会の圧力と支援が必要である。