2023年10月5日 11月号
目次
1. 問題意識と論点
- 報道の「熱狂」:山上徹也被告の“供述”が放送で一人歩きし、「旧統一教会=安倍元首相銃撃の動機」のように捉えられた。事実確認が追いつかぬまま、言説が暴走している。
- 宗教の自由 vs. 集団リンチ:信教の自由や政教分離の原則を無視し、集団で“殴る”ようにかたよった批判が続く危うさ。
2. 地方政治での“同調圧力”ケース
- 富山県・新田知事の事例
- 旧統一教会との「関係断絶」を宣言せよと地元テレビ記者が執拗に追及。
- 知事は「特定宗教を排除する宣言は憲法的にできない」「コンプライアンス上の問題ある団体とは関係見直す」と回答。
- これでも「断ち切れ」と圧力が止まず、最終的に「やむなく『関係を持たない』」と表明。
- ポイント:政治家が一声で“封じ込め”られ、人権・宗教の自由をないがしろにしかねない空気。
3. 国政レベルでの動きと過剰介入
- 野党・メディアの要求:国会で「旧統一教会禁止」を決議せよ、「断絶宣言」を全議員に義務付けよといった声が上がる。
- 消費者庁の動き:河野大臣が「解散命令まで踏み込むべき」と発言し、関係省庁を巻き込む過剰な国家介入の可能性。
- 法制度の現状:消費者契約法に「霊感商法」規定はあるものの、特定宗教だけを狙い撃ちにする法改正は憲法上・立法手続き上とも問題がある。
4. 「魔女狩り」的な空気の危うさ
- 社会的ムーブメントとしての危険
- かつて合同結婚式などで社会問題化した当時よりも、今の“バッシング”は過熱している。
- 問題ある他団体や企業でも同様の“断絶”要求が出る余地があり、拡大再生産の怖れ。
- 求められる視点
- 事実関係の精査:被害事例や加害者像を丁寧に検証し、憶測で言説を膨らませない。
- 憲法・人権の尊重:信教の自由・政教分離を基軸に、特定組織だけを狙わない普遍的ルール設計を。
- 多角的検証:政治・メディア・官庁による“狙い撃ち”のプロセスをモニタリングし、権力乱用を抑制。
5. 推奨文献
- 月間正論11月号「旧統一教会批判――熱狂の危うさ」(安藤啓太ほか執筆)
――ワイドショーや新聞では読めない、深い法的・憲法的考察と具体事例の分析が掲載。