拘束中の世界平和統一家庭連合(旧統一教会)元世界本部長・尹榮浩(ユン・ヨンホ)氏は、2017〜2021年の文在寅政権期に、現職の民主党議員2人に対して、現金および贈り物として総額8,000万ウォン(約6万ドル)を提供したと証言した。
当時、教団側は現在与党の国民の力(PPP)よりも、むしろ民主党側に「近かった」と主張している。
これは、尹錫悦(ユン・ソギョル)政権を「統一教会の傀儡」と批判してきた野党側の主張と正面から矛盾する内容だ。
特別検察官による取り調べの中で尹氏はこう証言した。 2018〜19年頃、慶尚圏を地盤とする民主党の有力現職議員に対しては、現金4,000万ウォンと高級腕時計(1,000万ウォン相当)を提供。
また、2020年には、元国会議員に3,000万ウォンを渡したという。 いずれの場合も、2人は天正宮(清平の聖地)を訪問して韓鶴子総裁と面会し、その後にこれらを受け取ったとされる。
尹氏は12月5日の公判でも、 「支援は国民の力(PPP)だけに偏っていたわけではない。文在寅政権下でも多くのパイプがあり、大統領秘書室長とも会っていた」 と重ねて証言した。彼は、現職の長官級・国会議員4人のリストを検察側に提出したという。
この証言によって、これまで「統一教会との癒着」を尹大統領および与党・国民の力に一方的に突きつけてきた民主党側の攻撃構図は、逆転しかねない状況となっている。仮に事実であれば、教団マネーをめぐる癒着は与党だけでなく野党にもまたがる「超党派の関係」であり、「国民の力だけが腐敗している」という野党の主張は成り立たなくなるからだ。
それにもかかわらず、特別検察の捜査の焦点はなお尹大統領陣営を中心とした疑惑追及に偏っており、民主党側の線については深堀りされていないとの批判も出ている。
関係を指摘された議員たちは一様に「そんな事実はない」と全面否定しており、火に油を注ぐ形だ。今後約20日で特検の活動期限が切れる中、真相がどこまで明らかになるのか、それとも政治的な“防護壁”が真実解明を妨げるのかが問われている。
統一教会をめぐる一連のスキャンダルは、韓国政治の「構造的矛盾」を浮き彫りにしている。1年半にわたり尹政権を「統一教会に影響された政権」として激しく攻撃してきた野党・民主党自身が、今度は教団からの便宜供与疑惑に直面しているからだ。
これは特定政党だけの問題ではなく、むしろ「与野党を問わない透明性の確立」を求める警鐘と言える。 影響力行使と利権が絡み合う韓国政治の現状において、有権者が求めるべきなのは、特定勢力だけを切り取った「選択的な怒り」ではなく、政治の両サイドに対する徹底した真相究明である。 詳しくはハンギョレ新聞の独占記事をご覧いただきたい:http://hani.co.kr/arti/society/s…

