3月4日東京高裁解散命令決定(三木素子裁判長)の問題点
1 証拠裁判主義(公正な裁判を受ける権利、憲法32条)に反する
(1)2009年コンプラ宣言後、家庭連合は397分の1に不法行為を減らした(金額。人数では126分の1)。しかし三木決定は、示談(91.2%)など不法行為の成立を確実に認定できないがその「成立可能性が否定できない」例(95.6%)を加え、不法行為の継続があり、結果が重大で、将来も不法行為のおそれがあるとして解散命令を下した(決定63、124、140、153~157、163頁)。



(2)この認定にあたり三木決定は、不法行為(不相当献金等勧誘行為や使用者責任)の成立を「確実に認定できない」と言っておきながら(113~117頁)、いつの間にか「不法行為に該当するというべき」「不法行為…を継続して行った」とすり替えて証拠なく強引な断定をした(140、153、154頁)。
(3)また、三木決定は、家庭連合が今後献金収入の予算額を引き上げて不当な献金勧誘をするおそれがあるなど、目的の不当性や将来の不法行為につき、証拠や事実に基づかず、推論の上に推論を重ねた強引な認定をしている(45~49、150~153、163、164頁)。
2 信者の人権を無視した判断は信教の自由・結社の自由(憲法20条、21条)に反する
(1)三木決定は、「万物復帰」「エバ国家」等の宗教の教義に立ち入った判断をして「文鮮明(その死後は韓鶴子)の活動資金を獲得する目的」が不当だと断じる(15~19、156頁)。これは宗教問題に司法は立ち入らないという最高裁判例に反する(板まんだら事件)。
(2)三木決定は、解散命令が「信者の宗教上の行為を禁止したり制限したりする法的効果を一切伴わない」と言う(161頁)。しかし、現在、信者は教会で礼拝や葬式ができない状態にある。
(3)信教の自由を制限するためには、より制限的でない他の手段がないことが必要なところ(LRAの原則)、献金被害防止のためには不当寄附勧誘防止新法などの他の手段がある。
しかし三木決定は、不相当献金勧誘行為の根本的な原因が家庭連合にあるため新法に実効性はなく解散が必要と言う(165頁)。しかし、解散しても任意団体が不相当な献金を募ることができる以上、解散が必要とはいえないのではないか。
3 非公開裁判は公開裁判の原則(憲法82条、32条)に反する
三木決定は、解散命令裁判は国家(文科省)と家庭連合という当事者間の紛争ではないため、非公開裁判は公開原則に反しないとする(176~178頁)。しかし、国家により家庭連合が法人格と信教の自由を奪われる当事者間の紛争といえる。信教の自由等の国民の権利に関わる裁判は透明性確保のため公開されるのが近代私法の大原則である。
4 民法も「法令」に含むことは適正手続・罪刑法定主義(憲法31条)に反する
三木決定は、法律や命令等の実定法規のみならず、不文の秩序等の法規範も「法令」に含むから民法不法行為も法令違反行為とした(174頁)。しかし、これは文理解釈に反する。
また、民法709条の不法行為規定からは何が法規範に違反する行為かが明確ではなく、罪刑法定主義に反する。そもそも民法709条・715条に従い賠償義務を果たした家庭連合は、これらの条文に違反していない。
5 「公共の福祉」という不明確な制限は国際法(憲法98条2項)に反する
三木決定は、「公共の福祉」を害するという不明確な概念を解散命令の原因とした(171頁)。しかし、これは国連が再三にわたり日本政府に国際法違反の勧告をしてきたとおり、信教の自由の制限に明確性を要求する国際自由権規約18条3項に反する。

