揺らぐ司法の中立性 民主主義を損なう政治化 著述家 加藤文宏 【世界日報】
要約
- 『あたらしい憲法のはなし』が説く「司法の公平性」
戦後の副読本は〈裁判の公平こそ国民の生命・自由・財産を守る〉と教え、裁判所を「国民の味方」と尊敬すべき存在と描いた。
- 近年相次ぐ“信念判決”への疑念
① 大飯原発再稼働差し止め訴訟では、一審裁判長が私的な「脱原発」信条を公言し、二審で覆された。
② 家庭連合(旧統一教会)解散命令決定は、実体の乏しい「顕在化しない被害」を根拠にした“結論ありき”と批判される。
- 恣意的な判断がもたらす社会的不安
裁判官の信条や政治性で法解釈が変われば、社会のルールは揺らぎ、予測不能となる。“審判”が片方に肩入れすれば分断が深まる。
- 「司法の政治化」が民主主義を侵す構造的問題
裁判官は選挙で選ばれず、罷免も困難(最高裁判事の国民審査は10年ごと)。奇妙な判決で不利益が生じても裁判官は処罰されにくく、弾劾の手続きも実効性が低い。
- “聖域化”する司法への不信と危惧
司法権の独立が「手を付けられない聖域」と化し、中立性を欠けば民主主義の基盤を揺るがす。政治不信より深刻な“司法不信”が独裁を招く危険性を指摘している。