3行要約
- 1988年、田中富広氏(家庭連合会長)が**川崎で高校中退者向けの夜間の「共学校」**を立ち上げ、学び直しと大検(当時)支援を行っていた。
- 教師は大学生や現役教員のボランティア、資金は月5,000円の支援者募集+本人のアルバイトで運営。
- 目的は「自立目標の回復」で、大検合格や高校への復帰も柔軟に支援。「社会が必要とする所へ貢献する」姿勢が活動の核。
詳細サマリー
設立背景(1980年代)
- 当時、日本で年間10〜12万人の高校中退が社会問題に。
- 韓国での「貧困で学べない子どもを支える運動(ヒョント発教)」に触発され、日本版として中退者への学習支援に焦点化。
- 高校へ直接協力依頼するも難航 → 新聞各社に投書して「生徒募集・教師募集」を掲載、応募が殺到。
学校のしくみ
- 夜間の学び直し拠点として開設。初年度は生徒11名(16〜28歳)。
- 目標は主に大検合格だが、「高校に戻りたい」と思えば復学を後押し。
- 教員体制:大学生ボランティア約5〜6人+現役教員4人でスタート。
- 費用:原則無料。運営は月5,000円の支援者を開拓し、不足分は田中氏が早朝の配送センター等でアルバイトして補填。
- 学びの姿勢:「先生はボランティアで来ている」という敬意が生徒側に共有され、良好な関係性が醸成。
田中氏の教育観・運営哲学
- 学びの目標は**「自立した目標を持ち直すこと」**。大検はそのための大きな壁=突破体験。
- 「愛のお仕着せにしない」=社会・地域が本当に必要とする所へ力を注ぐ。
- プロジェクトは「なくなることが目標」(課題が解決されるまで続け、解決したら役目を終える)。
- 家庭連合の「ために生きる」精神を身近な地域で具体化すれば大きな力になる、という展望。
エピソード
- 会場探し・資金集め・広報・教員確保までほぼ自前で奔走。
- 生徒の年齢や事情は多様だが、才能開花には時間がかかる—それを伴走するのが役割。
- 授業後に「先生飲みに行こう」と誘われるなど、人間関係の近さもこの取り組みの特徴。
ひとことで言うと
1988年の川崎で、田中氏が“中退者の学び直し”を、ボランティアと地域支援でゼロから形にした記録。目的は資格取得だけでなく、自分の目標を取り戻し、再出発する力を育むことでした。