矛盾する司法判断 後藤氏の監禁・引きこもり裁判
同一事案に異なる判断
日本の司法で、同一の出来事をめぐり全く相反する判断が下された。最高裁判所は「違法な監禁」と認定した一方で、高等裁判所は「自発的な引きこもり」と判断。司法制度の信頼性を揺るがす事態となっている。
12年5か月に及ぶ監禁
後藤トル氏は、家族と業者により12年5か月間にわたり信仰放棄を迫られ監禁された。最高裁はこの行為について「社会的に許されないものであり、監禁に当たる」と明確に違法性を認定。後藤氏が被害者であることを確定させた。
名誉毀損訴訟で再び争い
その後、ジャーナリストの鈴木エイト氏が後藤氏の体験を「引きこもり」と表現。後藤氏は「監禁という犯罪事実をなかったことにし、強制的な回収を正当化するものだ」として名誉毀損訴訟を提起。東京地裁は最高裁の判断を踏まえ、後藤氏の訴えを認めた。
高裁での逆転判決
しかし高裁は一審判決を覆し、「引きこもり」という表現に真実相当性があると判断した。理由として「前裁判の事実認定に拘束されない」とし、最高裁で否定された証言を再採用。自由心証主義の原則を根拠に、異なる結論を導いた。
判決への疑念
後藤氏は、この判断に司法のバイアスが影響したと指摘する。家族への感情移入、判決文における「マインドコントロール」という非科学的用語の使用、そして旧統一教会(現・家庭連合)をめぐる社会的風潮の影響を懸念している。
再び最高裁へ
本件は現在、再び最高裁の判断を仰ぐこととなっている。最高裁が自らの過去の判決と矛盾する高裁判断を前に、どのような結論を下すのか注目が集まる。
👉 要するに
「違法な監禁」と「自発的引きこもり」という矛盾する司法判断は、日本の司法の公正さと「真実」の定義そのものを問い直す重大な問題である。