国連専門家が日本の宗教的少数派への対応に警告「差別的な固定観念を強化」|UPF JAPAN 公式note
国連人権高等弁務官事務所 プレスリリース
日本:宗教的少数派に対する継続的なスティグマ化に国連専門家が懸念を表明
2025年10月1日
ジュネーブ発:国連の専門家グループ*は本日、日本における宗教的少数派に対するスティグマ化と、その特に子どもや若者への影響について懸念を表明した。
「私たちは、日本で子どもに配布されている教材が、宗教的少数派に対する差別的な固定観念を強化し、正当な宗教や信仰の表現を児童虐待と直接混同させる危険性があることに失望しています」と専門家らは述べた。
2025年5月から7月にかけて、日本の小中学生に「子どもの人権SOSミニレター」が配布された。
「パンフレットは児童虐待に関する重要な情報を強調し、若者と国家との間に人権をめぐる有益な連絡窓口を提供するという点では大変価値があるものです。しかし残念ながら、その内容は特定の慣行や活動、特にエホバの証人のものを標的にしているように見えます」と専門家らは指摘した。
「こうした教材は、宗教的少数派に属する子どもを保護するどころか、彼らに対するいじめや疎外を助長する危険があります」と彼らは述べた。
また、「宗教的信念に関連する児童虐待対応のQ&A」(以下「Q&A指針」)に関して、市民社会や少数派との協議を行うことが、これら差別的な懸念を解消する一助となる」とした。
問題となっているパンフレットの内容は、2022年12月に厚生労働省が公表した「Q&A指針」に基づいているとされる。この指針は、2024年4月に特別手続専門家が日本政府に送付した共同書簡の対象となり、日本政府もこれに回答していた。
「以前からの懸念と一致して、私たちは信頼できる報告を受けています。すなわち、エホバの証人を含む宗教的少数派が、国際人権規約(自由権規約)第18条に沿った正当な宗教活動、たとえば子どもと共に祈ることや、宗教上の理由で特定の活動を回避することを行っているにもかかわらず、当局から監視を強められているというものです」と専門家らは述べた。
「Q&A指針の差別的な枠組みが繰り返し使用されていることは、宗教的少数派を監視や行政的嫌がらせの対象とするより広範なパターンを反映しているのではないかと懸念しています」と彼らは述べた。
専門家らは、家庭連合(旧統一教会)の解散をめぐる東京地方裁判所の決定についても言及した。
「解散命令の根拠とされた不法行為判決は、『社会的相当性』の違反に基づいており、それが『公共の福祉』に対する重大な害悪を構成すると判断されました。しかし、国際人権委員会が以前に指摘したとおり、『公共の福祉』という概念は曖昧かつ無制約であり、自由権規約(ICCPR)の許容範囲を超える制限を認める恐れがあります」と、専門家らは警告した。
また彼らは、自由権規約第18条に基づく権利の行使に対するあらゆる制限は、国連人権委員会が解釈するところの同条第3項に定められた制限条件を厳格に遵守しなければならない、と強調した。
*専門家一覧
•ナジラ・ガネア(Nazila Ghanea):信教または信念の自由に関する特別報告者
•ニコラ・ルヴラ(Nicolas Levrat):少数者問題に関する特別報告者
•ファリーダ・シャヒード(Farida Shaheed):教育を受ける権利に関する特別報告者
•ジーナ・ロメロ(Gina Romero):平和的集会及び結社の自由に関する権利に関する特別報告者
・特別報告者/独立専門家/作業部会は、国連人権理事会によって任命された独立した人権専門家である。これらの専門家は総称して「人権理事会の特別手続」と呼ばれる。特別手続の専門家は無報酬で活動しており、国連職員ではなく、その業務に対して給与を受け取ることもない。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が事務局機能を担う一方で、専門家は個人として活動し、政府や組織(OHCHRや国連を含む)から独立している。提示される見解や意見はあくまで専門家個人のものであり、国連やOHCHRを代表するものではない。
・特別手続、条約機関、普遍的定期審査(UPR)を含む国連人権メカニズムによる各国に関する所見や勧告は、ユニバーサル人権インデックス(Universal Human Rights Index)に掲載されている。