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目次
■ 3行でわかる
① 東京大学総長選考で、意向投票1,117票の1位候補ではなく約半数の553票だった藤垣裕子氏が選出され、中川晴久氏はグラムシの「文化ヘゲモニー」の観点からこの決定に強い疑問を投げかける。
② 選考基準22項目の第14項「組織構成員の幅広い支持と合意形成能力」とダブルスコアの結果は矛盾すると指摘し、内藤陽介氏の独裁国家以下という批判や、藤垣氏の日本パグウォッシュ会議での活動も紹介する。
③ 大学の自治は「説明を求められない権力」ではなく、常識を作る側の人間こそ検証されるべきだとして、選考会議の説明責任と文科省による手続き確認の必要性を訴える。
動画の概要
日本自由の会代表・中川晴久氏が、2026年9月28日に発表された東京大学総長予定者の選考結果を取り上げ、イタリアの思想家アントニオ・グラムシの「文化ヘゲモニー」論を手がかりに、大学という「常識を作る場」に潜む見えない権力の問題を論じています。選考の透明性と説明責任、そして大学の自治のあり方を問う内容です。
主なポイント
1. トランプ大統領の「反共産主義」発言の背景
- ロイター通信(7月8日)によれば、トランプ大統領は約2週間で81回も共産主義に言及
- 9月9日の共和党中間選挙向け大会では民主党候補を「共産主義者」と呼び、9月24日からは米政府作成の反共テレビ広告も放映
- これは旧ソ連との冷戦の焼き直しではなく、ポリコレ・ジェンダー平等・DEI・グローバリズムといった理念の広がりへの対抗だと解説
2. グラムシの「文化ヘゲモニー」とは
- ヘゲモニー=主導権・覇権・支配的な影響力。社会の「常識」を形成することで思想的主導権を握ること
- ロシアで成功した共産主義革命が西欧で起きなかった理由を考えたグラムシは、国家権力の背後にある学校・大学・教会・新聞・文化に注目
- 政治権力を奪うだけでなく、教育や文化を通じて「問われない常識」を作ることが権力の要だと考えた
- だからこそ「常識を形成する大学のトップを誰が、どんな基準で選ぶのか」が重要になる
3. 東大総長選考の「ダブルスコア逆転」問題
- 学内の意向投票では1位候補が1,117票、藤垣裕子氏は553票と約半分だったが、総長選考・監察会議は藤垣氏を選出
- 9月29日の会見で国谷裕子議長は「資料や面接に基づき丁寧かつ真剣に協議し、責任を持って選んだ」「透明性と公正な手続きに配慮した」と説明
- 4月公表の選考基準(6つの重点ポイント・22項目)の第14項は「組織構成員の幅広い支持と合意形成能力」であり、圧倒的支持を得た候補を選ばなかったこととの整合性が問われる
- 第20項「自由・自律・多様性・包摂性」も、言葉の解釈次第で評価が変わる――意味を決めるのも評価するのも選考会議自身である点に文化ヘゲモニーの問題がある
4. 識者の指摘:内藤陽介氏と二本松哲也氏
- 内藤陽介氏:独裁国家でさえ「最大得票」の体裁を繕う。1位の半分の得票で「選出」と称するのはプーチンや金正恩にも劣る、と厳しく批判
- 二本松哲也氏:藤垣氏は2015年、安保法制を批判する日本パグウォッシュ会議有志の声明に署名。現在は同会議の議長として、憲法9条、安保関連3文書、敵基地攻撃能力、防衛費増額、日本学術会議の法人化などに関する活動を発信
- 中川氏は「活動歴だけで選考に偏りがあると断定はしない」としつつ、人事や評価基準が特定の価値観を再生産する仕組みになっていないか検証が必要と主張
5. 大学の多様性と「思想の偏り」への懸念
- 米国では大学のリベラル化・左翼化が深刻な問題になっており、日本でも同じことが起きていないかと問題提起
- 防衛力強化を唱えるなど異なる立場の研究者が、研究費獲得や人事・大学運営で公平に扱われているか
- 「多様性」を掲げるなら、政治的・思想的な多様性にも等しく適用されるべき
6. 文科省の対応と大学の自治
- 文部科学大臣は監察会議の今後の対応を注視する姿勢を示したが、説明が不十分な場合に何を確認しどう判断するかが重要
- 2023年11月15日の衆院文部科学委員会では、学長を任命しない場合は大学法人と社会に理由を丁寧に説明する必要があるとの政府答弁があり、不任命の可能性も残されている
- 政府が人事を恣意的に決めれば自治を損なうが、手続きが法令や公表基準に沿っていたかを確認することは自治と矛盾しない
- 大学の自治とは「説明を求められない権力」を持つことではない
まとめ・結論
グラムシが注目したのは「権力が人々の常識を作る」という問題でしたが、中川氏が最も問いたいのは「常識を作る側に立った人間を誰がチェックするのか」という点です。一つの思想が大学を占有すれば自浄能力は失われます。検証を拒む権力は、大学の中にあろうと政府の中にあろうと検証されなければなりません。今回問われているのは次の東大総長が誰かということだけでなく、国民の健全な常識が、ポリコレの行き過ぎなど学府が作ろうとする「常識」にNOを突きつけられるかどうかだ――と締めくくっています。
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